片想連鎖 ~伝えたい心~

渡り廊下を歩いていると、まだ空は明るいのにもかかわらず外灯が明かりを灯していて、そのすぐ脇にある”クヌギの木”を照らしていた。

その木にうごめく黒い物体が数匹見えて、ゴキブリかと思った私と美樹は、二人で悲鳴を上げた。


けど、よく見るとそれは…


「あ!美樹!あれカブトムシだよ!」


「え?そうなの?でも、私はどちらにしても嫌だなぁ…。虫苦手だし…。」


「よく見ると可愛いんだよ?待ってて!」


「えっ?!ちょっ、明奈?!」


私は美樹の驚きをも気にもしないで、クヌギの木に登り始める。


足掛けられる場所少なっっ
これ、登り棒的な感じ…?

制服だけど…
スパッツ履いてるからいっか?


そんな風に考えながら木を登っていると、カブトムシまで30㎝ってところで、そこに丁度良く太い枝の部分に到達したんだ。


そこに腰を掛けて、下にいるであろう美樹を見下ろしてみると…


「美…美樹。これ高さ何メートル位かなぁ…?ほら、上から見下ろすのと、下から見上げるのって感覚変わる…しさ?」


「…明奈。下から見ても3メートルは登ってると思うよ…。動いちゃダメだからね?!直哉君呼んでくるから!」


そう言って美樹は校門に向かって走って行ってしまった…

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