片想連鎖 ~伝えたい心~

私が額を擦りながらそう呟くと、木の下の方から溜め息混じりの声が聞こえてきた。



「そんな高い所登って、どうやって下りるつもりだったの?明奈は。」


「ナァーオォー…。」


「あれ?明奈じゃなくて、猫?山口さん?」


「”明奈”という名の猫かもしれないわね。」


「猫って…。二人して酷いよぉ!」


「山口さんは爽が待ってるよね?後は大丈夫だから、俺に任せて。」


「うん。宜しくね?じゃあ、明奈明日ねー?」


「美樹ぃー…カブトムシ…。」


「見せなくていいわよ。ふふっ。バイバイ!」


美樹は、ナオを信頼しているからなのか、あっさり帰って行ってしまったんだ…

結局、私一人でカブトムシに興奮してたのね…


< 255 / 316 >

この作品をシェア

pagetop