片想連鎖 ~伝えたい心~
私が額を擦りながらそう呟くと、木の下の方から溜め息混じりの声が聞こえてきた。
「そんな高い所登って、どうやって下りるつもりだったの?明奈は。」
「ナァーオォー…。」
「あれ?明奈じゃなくて、猫?山口さん?」
「”明奈”という名の猫かもしれないわね。」
「猫って…。二人して酷いよぉ!」
「山口さんは爽が待ってるよね?後は大丈夫だから、俺に任せて。」
「うん。宜しくね?じゃあ、明奈明日ねー?」
「美樹ぃー…カブトムシ…。」
「見せなくていいわよ。ふふっ。バイバイ!」
美樹は、ナオを信頼しているからなのか、あっさり帰って行ってしまったんだ…
結局、私一人でカブトムシに興奮してたのね…