片想連鎖 ~伝えたい心~
「ハハッ!もう意地悪は言わないよ。だから、明奈…おいで?」
ナオにそう言われて、私は座っていた太い枝からお尻をズラせながら落ちて行った。
――― バフッ!!
ナオに抱きつく音と共に、
『イテッ!』
というナオの声が聞こえてきた…
顔を上げてみると、私はナオの膝の上にいた。
ナオは尻餅をつきながら、自分の左手を押さえているようだった。
「ナッ、ナオどうしたの?!」
「何かが手に引っ掛かって、…切れた。」
そう言ってる間にも、ナオの傷口を押さえる指の間から、鮮血が流れるのが見えたんだ…。
私は慌ててポケットからハンカチを取り出し、ナオの左手の傷口を強く押さえ付けた。