片想連鎖 ~伝えたい心~
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「ナオ…。」


「…ん?」


「ナオ…の手に…ね?」


「…うん。」


「”私”がいるの……っっ。」


私が泣きながらそう言うと、
ナオは落ち着いた優しい声で…
『…見つけたんだね?』
と言ったんだ。


ナオの親指のつけ根にある傷痕…
ナオが、私を高い木から降ろす時に…
私の校章バッジで…
引っ掻いて出来た傷…


ナオの手には、私がいたんだ…



「だから、俺の全ては、昔も、これからも…」



『明奈だけのもの』



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