片想連鎖 ~伝えたい心~
エピローグ

--- 直哉と明奈が付き合い始めてから2年後

《 明奈side 》


ナオは附属の大学に進学して、大学1年生。
私はフラワーアレンジメントの専門学校に進学して、同じく1年生。

ナオはシステムエンジニアを目指していて、自分の夢に向かっていた。

私は高校3年になってからも”自分の夢”みたいなものが見つからなくて、悩んだ時期もあったんだ。

だけど、ナオの家に行く度、ナオのお母さんが楽しそうにブーケを作ったりしているのを見ていて、”私もあんな可愛いブーケを作りたいな…”と思い始め、家族や友達、勿論ナオにも相談して、専門学校への進学を決めた。

ナオと私はお互いの家を良く行き来する様になっていて、時々、ナオと一緒にうちの喫茶店のお手伝いもしていたんだ。

私の両親は、ナオをとても気に入ってくれていた。

口数の少ないお父さんが、にこやかに、
『直哉君と明奈が入ってから、若い層のお客さんが増えたよ。』
と言って喜んでいた。

私はそれが自分の事の様に嬉しかった。

ナオのお母さんも、私の事を本当の娘の様に可愛がってくれていたんだ。

高校生の時からバイトをさせて貰っていて、不器用な私にも根気よく教えてくれて、慣れた頃にお客さんの花束作りも任せてくれていた。

その時ナオは、カウンターの中で参考書を読みながらも、私の側にいて微笑んでくれていた…。

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