片想連鎖 ~伝えたい心~
《 ナオside 》


明奈と母さんが簡単な会話を済ませて、俺達は階段を登り先にリビングに入った。

明奈がキョロキョロし出したから、多分父さんを探しているんだろうと思って、仕事で出掛けている事を話したんだ。

そしたら明奈は急に顔を赤くして俯いた…。


あぁ、二人きりだから緊張してるのか。


今になっても顔を赤らめる明奈が可愛くて仕方がなかった。

衝動的に行動に移したいのは山々だった…。

だけど、もしかしたら俺が求めた時に、過去の事を思い出させて怖がらせてしまうんじゃないかと、俺は躊躇してしまっていたんだ…。

俺も男だし、我慢の限界だってある。

だから尚更、明奈を優しく抱けるだけの、自信や余裕が欲しかった…。


飲み物を持って俺の部屋に入ると、明奈の表情が変わっている事に気付いた。


それは、見た事のある表情だった…


中学の修学旅行の時に見せた、


”あの表情”


そのままだったんだ…


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