片想連鎖 ~伝えたい心~
ひたすら笑い転げていた佐々木君が、呼吸を整えながら、
『その挑戦、受けて立つよ』
と言った。
悔しいやら、恥ずかしいやらで半泣きになりながら、恨めしそうにジーっと佐々木君を見上げると…
「えっ?何?俺に見惚れちゃった?」
「全っ然違うからっ!!」
「マジかぁー。俺のガラスのハートがぁー…!」
とか言いながら、胸に両手を当ててフラフラとオーバーリアクションをしていた。
そんなやり取りを、私の腕に絡み付きながら見ていた絵里が、
『あんたのハートは、針金タワシだから!』
と、突っ込んできた。
「酷ぇ言い様だな、ムラムラ…。もっとオブラートに包んで言えよ。」
「もう、明奈を返してよねっ!あたしら帰んだからさぁー。」
「あっ!俺も部活行かなきゃだわ!じゃーな!藤原さん、ムラムラ!」
と、教室の中に走って戻って行った。
「…何だったの、アイツ。」
「そんなん、私が知りたいよ…」
私は、はぁ…と、溜め息をつきながら歩き出す。
その直ぐ後ろで、嬉しそうに微笑んだ絵里の顔を、私は見る事が出来なかった…