片想連鎖 ~伝えたい心~
※※ 中毒 ※※
予兆
私が教室に駆け込んだ後、すぐに美樹と絵里も息を切らせながら入ってきた。
美樹は、
『あ、明奈。走るの速すぎだよー。』
と言い、その横で、絵里がマフラーを乱暴にほどきながら、
『アッチィィー!2月なのに、まさかの汗だく!』
と言って、自席の椅子にドカっと座った。
まさか、私と同じ様に走って追いかけて来てくれるとは思わなかったから、なんか悪かったなぁ…と反省して、
『突っ走っちゃって、ゴメン』
と、項垂れた。
その私を見て、絵里が吹き出しながら、
『明奈の頭に垂れた犬の耳が見える…』
と言ったら、それを聞いた美樹も、
『確かにっ。』
と笑った。
「それにしても…。明奈は佐々木君と話すのって初めてじゃなかったっけ?」
と、美樹が私に話しかけつつも、目を細めてジトーっと絵里の方を見た。
その視線に気付いた絵里が、ギョっとした顔をして、
「べ、別に私が明奈に紹介したとかそんなんじゃなくて、昨日の帰り際にアイツが勝手に話しかけてきたんだって!ねぇ?!」
と、慌てて私の方に向き直って同意を求めてきた。
その凄まじい形相に圧倒されながら…
『う、うん。』
と私は答えた。