片想連鎖 ~伝えたい心~
「で、何で”ナオ”ってヤツが出てくんの?関係なくない?これから次の恋愛して、好きになれば良くね?」
「…うーん。」
「もしかして、まだ引きずってんの?」
「明奈がああ言うんなら、多分そうなんじゃないかな…。」
「うへぇ…。まぁ、フラレたんなら引きずってても仕方ないかぁ。」
「…ううん。明奈が、フッたの。」
それを聞いた絵里が、
『はぁぁ?!!』
と叫んだ。
その驚きように美樹は飛び上がって、
『声!大きいから!』
と言い、二人で教室を見渡した。
クラスメイトが数人、こちらを見ている事に気付いた絵里は…
『失礼しましたー…』
と、らしくない小声で言い、体を縮こめた。
落ち着きを取り戻す様に、深呼吸をした絵里が
『で?なんで好きなのに自らフッちゃったわけ?この子はっ。』
と、明奈を指を差して言う。
「私、知らないんだ…。聞こうと思ったんだけど、その前に『ナオが悪いんじゃない。私がダメだったの。』って言われちゃって…。聞くに聞けないというか、聞かないで欲しいみたいな雰囲気だったし…。」
『ふーん…。』
と、納得いかない返事をした絵里は、少し考え込む様な素振りをした後に、
『じゃ、明奈に直接聞くしかないねっ!』
と言い出して、美樹は、
『私の話聞いてた?!』
と絵里に詰め寄った。
深い眠りに落ちていた明奈は、二人がそんな話をしていたとは知るよしもなかった…