片想連鎖 ~伝えたい心~


スタスタスタスタ…
スタスタスタスタ…


私は、競歩をしているかの様に廊下を歩いていた。
その横で、佐々木君はいつもと変わらない調子で、飄々と付いて来ていたんだ。
背が高くて足も長い佐々木君には、到底勝てっこなくて…


コレがコンパスの違いかっ!!
ムカつくっ!!


と、心の中で毒を吐きながら、ひたすら足を進めた。


「藤原さん、そんなに早く歩いて疲れない?」


「別にっ?心配してくれなくて結構ですっ!」


と言った私に、佐々木君が、
『別に心配してないよ?』
と言うから、カチンときた私は足を止めて佐々木君を見上げた。


「何なのっ?!ちゃんと職員室行くし、佐々木君は部活に行けばいいじゃん?!」


「ねぇ?『佐々木君』て、言い辛くない?俺も『藤原さん』て、呼び辛い。」


「話をすり替えないでよっ!呼び辛いなら話しかけなければいいじゃん?!」


イライラしているところに話まで摩り替えられて、私の怒りは頂点に達していた。
その私をそっちのけにして、佐々木君はどんどん話題をねじ曲げて話し出した。



「『藤原さん』じゃなくて、ムラムラみたいに『明奈』って呼ぼうかなー?」




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