片想連鎖 ~伝えたい心~
一通り歌って満足したのか、絵里は柴田君と話をしだして、突然、柴田君が絵里に向かって顔を背けながら話し出した。
「おい、中村っ!ぶ…ブラの肩紐見えてる!」
「はっ?これは『見えてる』んじゃなくて『見せてる』んだよ!」
「誰に見せんだよ?!」
「や…。誰にっつーか。ファッションだし?」
そう絵里が説明したけれど、柴田君は納得がいかない顔をして、照れ隠しなのか今度は私に話しかけてきたんだ。
「藤原も首回り開いてる服を着てるけど、藤原もそうなのか?」
「…えっ?」
私がそう呟いた時、
柴田君の手が、
私の襟元に伸びて来て…
――― パシッ!!
という音と共に
眉間に皺を寄せながら
柴田君の手首を掴むカイの姿が目に入った…