片想連鎖 ~伝えたい心~

一瞬、空気が凍った気がした。


こんな顔をしたカイを見るのは初めてだったから…


でも、直ぐにカイがにっこり笑って、
『柴ちゃんセクハラぁー!ダメじゃない。…何ならあたしの見せてあ . げ . る。』
と言い出したから、場の空気が壊れることもなかったんだ。


びっくりした…
あんな顔もするんだ…
でも、助かった…


そう思いながら、私はカラオケ店を後にするまで変なドキドキを感じていた…。



夕方5時になる頃、美樹が、
『夕飯、ファミレス行かない?』
って聞いてきたけど、私は、
『お母さんから夕飯の仕度を頼まれてるから、帰るね。』
と言った。

そしたらカイが、
『家まで送るよ。』
と言って、私達二人は先に帰る事にしたんだ。


カイが途中で、
『俺ん家近くだから、前に貸すって言ってた参考書持ってく?』
と言い出して、私は一緒にカイの家に向かって歩いて行った。

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