片想連鎖 ~伝えたい心~
カイの家の前まで着くと、カイは、
『直ぐ持ってくるから待ってて』
と言って、家の中に入っていった。
私は【佐々木】と彫られた表札のある外壁を背にして、カイが出てくるのを待っていたんだ。
俯いていた私の足下に人影が見えて、視線を上げてみると、そこには一人の女の子が私の前に立っていた…。
肩まで伸びた明るい栗色の髪は、緩いウェーブがかかっている。
少し幼さを感じる可愛さを持ち合わせた、そんな女の子だった。
「藤原さん。」
「はっ、はいっ。」
「私、藤原さんの隣のクラスで”葉山結衣”。海斗の幼馴染みなの。」
そう自己紹介された後に、
『私の事知ってる?』
と聞かれたけれど、人付き合いが乏しく、名前もなかなか覚えられない私が知っているはずもなくて…
というか、同い年だったんだ…
私の返事を待たずに、葉山さんはどんどん話を進めていった。
「もう、海斗の側にいないで欲しい。」