片想連鎖 ~伝えたい心~
発症《 海斗 side 》
明奈が俺の前から走り出して直ぐ、追いかけようとしたんだ。
だけど、それが出来なかった。
結衣が、俺の腕を掴んでいたから…
俺は、沸き上がる怒り任せに結衣を怒鳴りつけた。
「っ!!離せよっっ!!」
「追いかけてどうすんの?!あれが藤原さんの答えなんじゃん?!」
「お前に関係ないだろっ?!余計な事してんじゃねぇよ!!」
「…私はっ、らしくない海斗を見たくないんだよ!」
「俺らしいって何だよ?!知った口きいてんじゃねぇ!!」
俺がそう言い切った時、結衣は顔を強張らせた。
続ける言葉が出て来ないのか、口を一文字にしている。
いや、言えねぇんだ。
俺が感情的になって怒鳴りつけたから。
やべぇ…
心でそう呟いた後、
『…わりぃ。言い過ぎた。』
と言いながら、片手で自分の髪をクシャっと掻き上げた。
今にも泣き出しそうな結衣は首を強く横に振り、俺の腕から手を放して重力のままに腕を下ろした。
結衣は、それこそ生まれた時からの幼馴染み。
俺と同い年のくせに、中身は幼稚だし、見た目も童顔だったせいか、俺は妹の様に思っていたんだ。
そのせいか、どこかに見下していたところがあったんだと思う。
だから、結衣がしたことに対して必要以上に腹を立てたんだ…。