誠につもる白雪かな
凛「ん...」


左手に感じる暖かい感触と穏やかな日差しにゆっくりと目を開く。



土「起きたか。」



あの日と同じセリフなのに...



朝日を背に微笑む彼の顔は逆光でも眩しく見えた。



凛「総司は...」


土「無事だ。先に自分の心配しやがれ..」


そう言ってあたまを撫でる彼の手は冷たくて自然と目を閉じた。


土「まず、礼を言う。ありがとな...それからすまなかった。」



凛「良いんです...いったでしょ。歴史を変えると。あんなところで総司さんに死なれるわけにはいかないんです...」


土「そうか...」


そう言って安心したように土方は微笑んだ。



土「お前に渡す物がある。」



凛「はい。」



土「お前のもんだ。」



フワリと肩にかけられた物をみれば鮮やかな浅葱色の羽織だった。



土「新撰組のため、存分に働いてくれ。」



凛「はい‼」



凛はこちらに来てから一番の笑顔を見せた。

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