ハンバーガー質小井店。
攻防戦開始。
****、ください。
『あの世界でも有名な某ハンバーガー質小井店に、皆が綺麗だと断言する女がいる。』
そう噂は聞いていた。
その時は自分には可愛い彼女がいたし、某ハンバーガー店よりハンバーガーの中にミートソースが入った値段が高めのお店の方が俺は好みだった。
そんな噂をすっかり忘れていた俺は、深い意味もなく、ダチに連れられて1年に1回行くかいかないかの某ハンバーガー店に行った。
夏休みに入ったばかりの昼時は、某ハンバーガー店は混雑していて、体がぶつかったり前に並んでいるケバい女からの香水で吐きそうになったり、エアコンが効いているはずの店内は熱気で暑かったりと、最悪だ。
来なければ良かったと後悔する俺を他所に、後ろに並んでいるダチは浮き足立っている。
俺の背後からレジを覗き込む男2人。
汗のかいた腕同士がぶつかる度に眉間のシワが深くなる。
「暑い、寄んな。」
腕で払っても覗き込むのを止めない連れに、眉間のシワと苛立ちは限界に。
「おいっ!お前らいい―…「次のお客様ご注文お受けいたしますっ!!」」
俺の怒鳴り声は、レジから叫ばれた声に遮られる。
眉間にシワが寄ったままレジに視線を向ければ、
「お決まりですか?」
白くて小さな顔、大きな瞳、潤っている赤い唇に火照った頬。
少し冷たそうな空気を纏った彼女は、化粧が全く必要なく、身長は170以上ある俺と同じくらいだ。
首を傾げた彼女は
「あー、いいなぁ…俺が前に並べばよかった!!譲、変われっ!」
「俺だっ!俺と変われっ!奢ってやるから!!」
「ーール…、
スマイルくださいっ!!!!!」
噂の彼女だった。
□ スマイル、ください。END ■