ハンバーガー質小井店。
****、はなんですか?
某ハンバーガー質小井店に通い始めて丸2ヶ月。
「スマイルくださいっ!」
「ありがとうございます。お会計、620円です。」
今日もまた綺麗に流される。
はっきり言うと、凹む。
頭の天辺が足のつま先に付きそうなほど凹んでいますよ。
まぁ、諦めないけど。
俺には夜な夜な考えた秘策がある。
2ヶ月が経ち顔見知りになった…次のステップは…?
「オススメはなんですか?」
やっぱこれだよな。
レジで接客用の笑みを浮かべていた彼女は、俺の言葉にきょとんとした表情から焦った表情へと変わり、レジ横に置いてあるメニュー表へと目を走らせた。
「えっ、あっ、…はい。只今、期間限定のバーガーが2種類ありまして。2つ共ボリュームがありますが、お肉をがっつりと食べたい方には此方で、さっぱりしたお味がお好みなら此方がオススメです。」
「あー、じゃぁ、こちらのセット、ドリンクコーラで。」
「ありがとうございます。お会計700円です。」
ここ何ヶ月か通って気付いたことは、彼女は冷静で少し素っ気ない。
それは俺に対してかもしれないが、客席から眺めていても、いつも彼女は誰相手でも無駄が無く、笑顔を浮かべたままだ。
俺みたいな輩もいるわけで…何度か絡まれた所を見かけたことがあり、ここで恰好良くヒーロー登場―…なんて隙も作らず上手く躱してしまう。
そんな彼女に物足りなさを感じたりするが、其処が彼女のいい所だと考え直した。
「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ。」
焦ったのは一瞬。
直ぐに立て直した彼女は接客が上手なんだと思う。
もっと沢山の表情がみたいと思うのは変態だろうか…?
さて、今度はどんな手を使って彼女の気を引こうか。
□オススメ、はなんですか? END■