黒猫浮かれん坊

小夜の家で眠ってしまった
良を小夜見つめていた。

規則正しい寝息を立てて眠る良に
小夜は切なそうな顔をした。

小夜がふと写真に目を移すと
玲と小夜と良の三人組で
公園の近くで撮った写真が入ってきた
その写真には塀の所に黒猫も写っていた

「この頃に戻れたらな…」

仲良しだった事故前の三人
今では小夜は良に束縛されているような
感じがしてたまらない。
どうしてこんな事になったのか…
小夜にもわからなかった。

自分が化け物と言われてる訳。
イジメに遭っている訳。
小夜には何もわからなかった。

一つだけ小夜が言えることは
目を開けた時に、
病院で心電図に映る自分の脈と
隣のベッドから聞こえた、
心電図に映る脈が途絶える、
ピーーー…と言う音だけだった。

誰が死んだかわからないが
事故当時に側に居たのは良。
けれど、どうしてその時良と居たのか
小夜は思い出せない。

全てが変わってしまったのは、その
交通事故の所為、小夜はそう思っている
三人の関係。良の態度。玲の眼差し。
全てが脳裏を交差して、
小夜は良の寝顔を只々、
見つめている事しか出来なかった。