黒猫浮かれん坊
良の双子の兄、佐藤 玲は
部屋に篭りっきりの良を心配していた。

良と玲は
何事も隠し合う性格じゃなかった。
好きな人も、好きな事も、嫌いな事も
すべてが双子だからって、
一緒になるわけなかった。

でも、あの事件で良は変わってしまった

ピンポーン!

「あっ…俺でる!」
玲が玄関のドアを開けると、
そこには小夜が立っていた。

「あの、良ちゃんいるかな…?」
「さ…や…」
「?あっ…久しぶりだね!玲ちゃん!」
「ああ…」
玲が信じられないという目で
小夜に手を伸ばした瞬間。

「小夜!?」
タイミング良く良が下に降りてきた。
慌てて出した手を引っ込める。
「良ちゃん!」
「どうしたんだ?」
「これ…」
「ん?」

小夜が取り出したのは
ピアノの楽譜だった。

「親がいないから弾いて見たんだけど、
この曲難しいね…」
「俺が教えようか?」
「いいの!?」

小夜の目が輝く
玲は面白くなさそうに、
二階へ上がって行った。

「誰か来たの?」
「【誰も】」
玲が母親にそういうと同時に
良と小夜は家にいなかった。
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