無垢・Age17
 『チェリーボーイって言うのはね。日本だと未経験者という意味かな? でも英語では違うのよ。同性愛者での未経験って言う意味なのよ』
社長の説明してる。
でもそれだけじゃ駄目だと感じた。
だってみさとが知りたいのはあくまでも、チェリーボーイなのだから。


『週刊誌にゲイだと書かれていただろう? それも未経験だからチェリーボーイってタイトルだったんだ。ま、知ってる者は知ってるって感覚かな?』

だからそう言ったんだ。


彼奴は本当に、俺のチェリーを狙っていた。
チェリーボーイも卒業させようとしていた。


でも本当のところ、彼奴もチェリーだったんだ。

お互いに……

彼奴はそう願っていたのだ。


俺は知りながら、そんな彼奴の思いを拒み続けてきた訳だ。




 でも諦めてくれたんだ。

その代わりが、ニューハーフへの転身だったのかも知れない。

彼奴が本当の女性だったら、こんな思いはしないし、させない。

勿論、みさと以外にチェリーをくれてやりたくなかったのだが。


でも俺は……
結局逃げて、社長に救いの手を求めたんだ。




 社長は、日本から来たタレントの案内役だった。
だから俺は彼女を頼って日本に戻ったんだ。


彼女はオーナーのお譲さんのベビーシッターだったらしい。

俺を見て、その子の婿にと思って紹介してくれたらしいんだ。
そんなこと俺は知らずに、あのマンションで暮らし始めたんだ。


俺にはみさとがいる。
俺のイトコの初恋の人がいる。
だからとにかく日本へ戻りたかったんだ。


男性より……
ニューハーフになった彼女より、みさとを抱き締めたかった。

俺はその時、みさとと結婚したくなったんだ。




 俺は中学生の時、小学生のみさとの魅力に遣られた。それ以来、俺はずっとみさとに恋い焦がれている。

みさとはその時から高身長で、姿だけは大人びていた。
でも仕草は少女のように可愛らしかった。


特に、恥ずかしそうに俺を見つめる眼差しは忘れられない。


だからなおのこと、みさとはあのままでいてほしかった。

俺の故郷の香りを身に付けたままで。




 ホームステイした時、みさとは俺を見ていた。

あどけない表情で俺を見つめていた。

その途端。
俺の恋心に火が着いた。


なすすべもなく燃え上がる炎。
俺はただ、もて余していた。



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