無垢・Age17
 俺の父親とみさとの母親は恋人同士だったんだ。
横恋慕した長男可愛いさに、二人の仲を引き裂いた祖母。

それでもみさとの父親はまだ二人を疑っていたようだ。




 みさとが生まれた時だってあまり嬉しいそうではなかった。

みんなの前では笑っていたよ。
でも陰に隠れて伯母さんに辛くあたっていたんだ。


伯父さんが男の子を欲しがっていたことは知っていた。

俺は単純にそれが原因だと思っていたんだ。


突然、そんなこんなを思い出して……

だから自暴自棄になって、あの女性の企みに乗ってしまったんだ。



 俺は意を決して、あの女性が待つホテルに向かった。

ドアをノックしたら、バスローブで出てきた。
そしてすぐにシャワー室に案内された。


チェリーを奪うことが目当てだってすぐに解った。

後悔した。
来るんじゃなかったって思った。
でももう遅かった。

俺は言いなりになるしかなかったんだ。


目を瞑れば良いと、自分に言い聞かせた。

でも、出来るもんかと本心が囁く。


こんなことだったら、俺のせいでニューハーフなった奴にくれてやれば良かったとさえ思った。

そうしていればこんな女性を相手にしなくて済んだのに……
そう思ったんだ。


あの、疑惑のチェリーボーイと書かれた週刊誌を見て驚いた。

写真はあのホテルだったんだ。
隠し撮りされていたんだよ。
でも結局、失敗したからやっぱりゲイだったってことにされたんだ。




 俺は解っていたんだ。

この女性を敵に回したら酷い目に合うことを。

俺をナンバーワンにするために、前人者がどんな目に会ったかも知ってる。


それでもイヤだった。

今更だけど……
俺はその時、其処から逃げる決意をした。


みさとのことが脳裏を掠めた?
そうかも知れない。

俺は逃げる途中でみさとのことばかり考えていた。
でもみさとは兄妹なんだって言い聞かせたてもいたんだ。


兄が妹を愛した。
それだけでもスキャンダルになる世界だ。

だから、ホストを辞めて東南アジアに戻ろうと思ったんだ。


でもそれは出来なくなった。
父が日本に帰ってくるかも知れないと解ったからだった。



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