無垢・Age17
 ホストは愛の伝道師。
誰かがそんなことも言っていたな。

愛って何?
愛してもいない人を仕事だからって襲えるの?
仕事だから、仕方なく襲えるの?

いえ違う。
さっきレイプしようとしていたあの俳優達は、本当に厭らしい目で私を捉えていた。

涎が滴り落ちるその口元で、私をなめ回すつもりでいた。


ふと脳裏に、何時か見た映画のベッドシーンが甦った。

私は暫く放心状態になり、頭を抱えた。


さっきまで私が寝かされていたベッドを見る。
その途端に、テレビの二時間ドラマの映像と重なった。

私はワナワナと震え出した。


『いいじゃないか、減るもんじゃあるまいし』

さっき……
アイツの反感をかった言葉の意味は解らない。

それでも、女性を侮辱する言葉だと判断した。




 でも何で私のこと知っているの?

私はさっき名前を呼ばれたことを、やっと理解出来るような精神状態に戻っていたのだ。


(確かにみさとちゃんとか言ったよな? でも覚えがないんだよな? もしかしたらス、ストーカー!?)
私はそんなことも想像していた。


だってこんな顔の人、兄貴の友達の中にいなかった気がする。

でも飛躍し過ぎかな?

まるっきりモテたこともない私にストーカーだなんて。


そうだよ。
モテるはずがない。
田舎にはほとんど子供がいなかったんだから。
兄貴の友達は、あの子とあの子……
片手でも足りる。


(そうだよ。あんな格好いい人なんかいるはずがない……)

アイツを見ながらそう確信した。




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