無垢・Age17
だから、目的を変えた。
誰でもいい。
タジオから出て来るタレントに会いたいと思ったんだ。
もう放送はしていないと解っていたけど、きっと何かで使われている。
そう考えたのだ。
やはり東京に来たからには有名人に会わなくちゃ。
私はバカに張り切っていた。
ミーハーだと思う。
私は苦笑しながら其処を目指した。
苦しまみれの言い訳だと解ってはいた。
複雑な気持ちのままで私はとりあえず南口方面へと足を進めたた。
もう見もことの出来ないお昼の番組。
それでも歩き出した。
其処へ行くには南口を出て左に曲がれば良い。
でも私は右に曲がっていた。
やはり西口をどうしても確かめたかったのだ。
私は西口に向かって歩き始めた。
その途端に木枯らしが吹いた。
「わあ、寒い。やはり手袋必要だったかな?」
独り言を言いながら、袖を伸ばして手の甲を隠す。
そしてその先に僅かに出た指に息を吹き掛けた。
(東京は暖かいって聞いたんだけどな……)
私はもう一度指先に息を吹き掛けてから、又歩き出した。
街中至るところでクリスマスツリーがある。
私はもうすぐクリスマスだと言うことさえも忘れていた。
いや忘れようとしていたのかも知れない。
就職も決まらない私にはクリスマスも、次にやって来る正月もない気がした。
「これもツリーって言うのかな?」
私は青いペーパーらしいツリーらしき物に目がいった。
でも私の目は、道路の反対側にある大きな丸い物に奪われていた。
蔦に覆われた二つのそれは、互い違いに不気味な姿をさらしていた。
「何だろうあれ?」
私は独り言を呟いた。
「あぁ、あれは確か通風口だったと思うけど」
バス停の前を通りがかった親切な人が教えてくれた。
「通風口ですか? もしかしたら高速道路の上の部分にあるような物ですか?」
「まぁ、そんなとこかな?」
私はさっき歩いていた、山手線のホームから繋がる駅中商店街を思い出していた。
それは大きな口を開けている様に見えた。
(雨の日は大丈夫何だろう? みんなずぶ濡れだったりして)
私はそんなことを思いながら笑っていた。
(あ、私笑ってる)
何故かそれだけで嬉しくなっていた。
「これから何処へ?」
「タレントの出待ち。だけど番組自体……」
同じ歳位だったので私は素直に答えた。
(東京の人は気さくだな)
私はそう思った。
誰でもいい。
タジオから出て来るタレントに会いたいと思ったんだ。
もう放送はしていないと解っていたけど、きっと何かで使われている。
そう考えたのだ。
やはり東京に来たからには有名人に会わなくちゃ。
私はバカに張り切っていた。
ミーハーだと思う。
私は苦笑しながら其処を目指した。
苦しまみれの言い訳だと解ってはいた。
複雑な気持ちのままで私はとりあえず南口方面へと足を進めたた。
もう見もことの出来ないお昼の番組。
それでも歩き出した。
其処へ行くには南口を出て左に曲がれば良い。
でも私は右に曲がっていた。
やはり西口をどうしても確かめたかったのだ。
私は西口に向かって歩き始めた。
その途端に木枯らしが吹いた。
「わあ、寒い。やはり手袋必要だったかな?」
独り言を言いながら、袖を伸ばして手の甲を隠す。
そしてその先に僅かに出た指に息を吹き掛けた。
(東京は暖かいって聞いたんだけどな……)
私はもう一度指先に息を吹き掛けてから、又歩き出した。
街中至るところでクリスマスツリーがある。
私はもうすぐクリスマスだと言うことさえも忘れていた。
いや忘れようとしていたのかも知れない。
就職も決まらない私にはクリスマスも、次にやって来る正月もない気がした。
「これもツリーって言うのかな?」
私は青いペーパーらしいツリーらしき物に目がいった。
でも私の目は、道路の反対側にある大きな丸い物に奪われていた。
蔦に覆われた二つのそれは、互い違いに不気味な姿をさらしていた。
「何だろうあれ?」
私は独り言を呟いた。
「あぁ、あれは確か通風口だったと思うけど」
バス停の前を通りがかった親切な人が教えてくれた。
「通風口ですか? もしかしたら高速道路の上の部分にあるような物ですか?」
「まぁ、そんなとこかな?」
私はさっき歩いていた、山手線のホームから繋がる駅中商店街を思い出していた。
それは大きな口を開けている様に見えた。
(雨の日は大丈夫何だろう? みんなずぶ濡れだったりして)
私はそんなことを思いながら笑っていた。
(あ、私笑ってる)
何故かそれだけで嬉しくなっていた。
「これから何処へ?」
「タレントの出待ち。だけど番組自体……」
同じ歳位だったので私は素直に答えた。
(東京の人は気さくだな)
私はそう思った。