無垢・Age17
停留所の前では大勢の人が中野行きのバスを待っていた。
それが何処に在るのかさえも解らないのが、名前だけは聞いた覚えがあった。
「あっ、それだったら解るわよ。でも、今遣っているのかな? 彼処まで結構あるわよ。近道知っているから案内してあげる」
その人はニコニコしながら、私の手を繋いだ。
(親切な人だなぁ)
私は疑いもせず、その人に付いて行った。
新宿駅西口から少し行くと暗いガードがあって、下を潜るとその先に歌舞伎町はあると言う。
だから私は其処を通りたかったのだ。
でもそんなこと聞ける訳がなかった。
そう、私が一番行きたい場所。
それはアイツが働いている歌舞伎町だったのだ。
歌舞伎町をもう一度見て見たかったのだ。
道に迷って困ったら、新宿区役所の場所を聞けばいい。
勿論カモフラージュだけど、私は本気でそう思っていた。
兄貴を尾行したあの日の通りに行けば良いこと位解るけど、それがどの道だったか記憶が定かではなかったのだ。
「じゃ行くよ」
その人はそう言うと、私の前を歩き始めた。
自然に手が離れていく。
(あ、待って……)
私は慌ててその人の背中を追い掛けた。
進行方向にある階段は代々木駅に繋がっているらしい。
そんなことを兄貴が言っていたのを思い出した。
上にカバーの付いた階段で、ふと立ち止まる。
「ん、何か此処に用事かな?」
その質問に首を振った。
「これって、代々木駅に向かう高架橋ですか?」
思いきって聞いてみた。
「確か兄貴が、この先に明治神宮があるって言っていたから」
「あー、それなら反対側よ。デパートの前からあるの。新宿駅は終点だから、あんな凄い舗道を作ったのかな?」
「明治神宮って、原宿で降りるものだとばかり思っていましたからビックリした記憶があります」
「此処からも行けるとは思わなわよね。結構道のりはあるけどね何とか行けるわ」
私は正月は田舎で過ごしたいと思っている。
それでも日本一の初詣客を集める明治神宮にも行ってみたいと思っていた。
「そんなにかかるのですか……」
「恋人と一緒ならあっと言う間かもよ」
その人はそう言って笑った。
それが何処に在るのかさえも解らないのが、名前だけは聞いた覚えがあった。
「あっ、それだったら解るわよ。でも、今遣っているのかな? 彼処まで結構あるわよ。近道知っているから案内してあげる」
その人はニコニコしながら、私の手を繋いだ。
(親切な人だなぁ)
私は疑いもせず、その人に付いて行った。
新宿駅西口から少し行くと暗いガードがあって、下を潜るとその先に歌舞伎町はあると言う。
だから私は其処を通りたかったのだ。
でもそんなこと聞ける訳がなかった。
そう、私が一番行きたい場所。
それはアイツが働いている歌舞伎町だったのだ。
歌舞伎町をもう一度見て見たかったのだ。
道に迷って困ったら、新宿区役所の場所を聞けばいい。
勿論カモフラージュだけど、私は本気でそう思っていた。
兄貴を尾行したあの日の通りに行けば良いこと位解るけど、それがどの道だったか記憶が定かではなかったのだ。
「じゃ行くよ」
その人はそう言うと、私の前を歩き始めた。
自然に手が離れていく。
(あ、待って……)
私は慌ててその人の背中を追い掛けた。
進行方向にある階段は代々木駅に繋がっているらしい。
そんなことを兄貴が言っていたのを思い出した。
上にカバーの付いた階段で、ふと立ち止まる。
「ん、何か此処に用事かな?」
その質問に首を振った。
「これって、代々木駅に向かう高架橋ですか?」
思いきって聞いてみた。
「確か兄貴が、この先に明治神宮があるって言っていたから」
「あー、それなら反対側よ。デパートの前からあるの。新宿駅は終点だから、あんな凄い舗道を作ったのかな?」
「明治神宮って、原宿で降りるものだとばかり思っていましたからビックリした記憶があります」
「此処からも行けるとは思わなわよね。結構道のりはあるけどね何とか行けるわ」
私は正月は田舎で過ごしたいと思っている。
それでも日本一の初詣客を集める明治神宮にも行ってみたいと思っていた。
「そんなにかかるのですか……」
「恋人と一緒ならあっと言う間かもよ」
その人はそう言って笑った。