無垢・Age17
暫く歩いて行くと、東口近道と表示されている道があった。
「こっち、こっち」
その人が手招きをする。
私は又を後追った。
其処は地下道だった。
「もしかしたらこれが歌舞伎町に繋がってる道?」
思わず出た独り言。
慌てて口に手を当てた。
そっと、その人を見る。
でも彼女は私の発言に気付いていないようだった。
その通りは結構明るい。
確か……
新宿駅西口から少し行くと暗いガードがあって、下を潜るとその先に歌舞伎町はあるとアイツは言ってた。
それに、兄貴を尾行した場所でもなかった。
(どうやら此処は違うらしい)
一度来た位で解るはずがない。
私はあの歌舞伎町に繋がる地下道を確かたかったのだ。
もう一人の兄貴が勤めている場所を。
(きっとこんな場所が沢山あって……私だったら確実に迷子になるな)
私は東京迷路の怖さを改めて感じていた。
(兄貴と東口で待ち合わせした時は、駅員さんとか交番のお巡りさんとかに道を尋ねてたどり着いたんだったな)
私はふと、あの日の光景を思い出してゾクッとしていた。
(あの俳優達のことなんか忘れたいのに……)
きっと私は何かがある度に思い出し、悪寒に襲われる。
私は改めて助けくれたアイツに感謝していた。
そんなこんなしながら出口に到着した。
その先には、あの日見た懐かしい景色が広がっていた。
スタジオの反対側の道路で様子を見てみたかった。
せっかく東京に出て来たのだから、あの馬の水飲み場近くで見たかった。
でも私は引っ込み思案で前には出られない性格なんだ。
これを何とかしたいと思いながら其処にいた。
手前の建物にはクリスマスツリーがあった。
それは今まで見た中でも大きい方だった。
「ちょっと悪いんだけど此処にいてね」
その人はそう言いながら、スマホを取り出しメールを始めた。
「ねえ、貴女モデルやらない? 読モじゃない、本物のモデル」
「ドクモ?」
「へー、貴女読モ知らないの。益々気に入ったわ。あ、読モって言うのはね、読者モデルのことよ」
「あー、良くバラエティーに出てくる」
「そう。ねえやらない? 貴女スタイル良いし可愛いから……」
その人はそう言いながら、スマホをバッグに締まった。
「こっち、こっち」
その人が手招きをする。
私は又を後追った。
其処は地下道だった。
「もしかしたらこれが歌舞伎町に繋がってる道?」
思わず出た独り言。
慌てて口に手を当てた。
そっと、その人を見る。
でも彼女は私の発言に気付いていないようだった。
その通りは結構明るい。
確か……
新宿駅西口から少し行くと暗いガードがあって、下を潜るとその先に歌舞伎町はあるとアイツは言ってた。
それに、兄貴を尾行した場所でもなかった。
(どうやら此処は違うらしい)
一度来た位で解るはずがない。
私はあの歌舞伎町に繋がる地下道を確かたかったのだ。
もう一人の兄貴が勤めている場所を。
(きっとこんな場所が沢山あって……私だったら確実に迷子になるな)
私は東京迷路の怖さを改めて感じていた。
(兄貴と東口で待ち合わせした時は、駅員さんとか交番のお巡りさんとかに道を尋ねてたどり着いたんだったな)
私はふと、あの日の光景を思い出してゾクッとしていた。
(あの俳優達のことなんか忘れたいのに……)
きっと私は何かがある度に思い出し、悪寒に襲われる。
私は改めて助けくれたアイツに感謝していた。
そんなこんなしながら出口に到着した。
その先には、あの日見た懐かしい景色が広がっていた。
スタジオの反対側の道路で様子を見てみたかった。
せっかく東京に出て来たのだから、あの馬の水飲み場近くで見たかった。
でも私は引っ込み思案で前には出られない性格なんだ。
これを何とかしたいと思いながら其処にいた。
手前の建物にはクリスマスツリーがあった。
それは今まで見た中でも大きい方だった。
「ちょっと悪いんだけど此処にいてね」
その人はそう言いながら、スマホを取り出しメールを始めた。
「ねえ、貴女モデルやらない? 読モじゃない、本物のモデル」
「ドクモ?」
「へー、貴女読モ知らないの。益々気に入ったわ。あ、読モって言うのはね、読者モデルのことよ」
「あー、良くバラエティーに出てくる」
「そう。ねえやらない? 貴女スタイル良いし可愛いから……」
その人はそう言いながら、スマホをバッグに締まった。