無垢・Age17
「本当に良かった。もし何があったらと気が気じゃなかった」
アイツはそう言いながら、私のジーンズの汚れを払ってくれた。
新宿駅西口から少し行くとガードがあって、下を潜るとその先に歌舞伎町はあると言う。
だから何時もは、其処を通っているのだそうだ。
でも偶々今日は、反対側にあるにある店に寄ろうとしたのだそうだ。
その時兄貴を見つけて声を掛けたって訳だ。
私だって歌舞伎町の名前位知ってる。
でもまさか、新宿駅のすぐ近くにあったなんて知らずにいたのだ。
兄貴が来るまでアイツは震える私の体を抱き締めてくれていた。
(ヤバい……こんなトコ兄貴に見られたら何言われるか)
そう思い、体を離そうとした瞬間。
髪から、服から良い香りが漂う。
(流石ホスト)
自分でもうっとりしているのが判る。
さっきまでの気持ちとはうらはらに、衣装までがかっこ良く思えていた。
「ごめんごめん」
そう言いながら兄貴が転がるように入って来た。
見ると、兄貴の息は上がっていた。
ハァハァと肩で息をする兄貴の傍らで、アイツは優しそうな眼差しを私に向けてくれていた。
やっと平常心に戻った兄貴は、監督の元へ歩み寄って行った。
「貴様、俺の妹に何てことしやがる!!」
でも兄貴は、まだ興奮していた。
「監督が悪い!!」
誰かが叫んでいた。
「何故一緒に彼処に行かなかったの? 何故カメラマンを変えたの? 彼なら……、私と彼女の区別がついたはずよ」
その声は、怒りを通り越して呆れているように聞こえた。
(誰?)
涙で霞んだ目で良く見ると、兄貴の隣には私とそっくりな服装をした女性がいた。
私達が待ち合わせていた新宿東口駅前。
其処で監督達も待ち合わしていた。
それが騒動の発端だった。
兄貴はその手前で同郷の友人に話し掛けられた。
だから私が連れ去られて行くところを目撃したのだった。
友人は近くに止めてあったバイクで追跡。
兄貴は置いてきぼりの女優と撮影現場を目指したと言う訳だった。
「良かったみさとちゃんが無事で」
アイツは私の名前を呼んでいる。
でも私は興奮していて気付かなかった。
「本当に馬鹿だな俺は」
アイツはそう言いながら今度は自分の服の汚れを払っていた。
アイツはそう言いながら、私のジーンズの汚れを払ってくれた。
新宿駅西口から少し行くとガードがあって、下を潜るとその先に歌舞伎町はあると言う。
だから何時もは、其処を通っているのだそうだ。
でも偶々今日は、反対側にあるにある店に寄ろうとしたのだそうだ。
その時兄貴を見つけて声を掛けたって訳だ。
私だって歌舞伎町の名前位知ってる。
でもまさか、新宿駅のすぐ近くにあったなんて知らずにいたのだ。
兄貴が来るまでアイツは震える私の体を抱き締めてくれていた。
(ヤバい……こんなトコ兄貴に見られたら何言われるか)
そう思い、体を離そうとした瞬間。
髪から、服から良い香りが漂う。
(流石ホスト)
自分でもうっとりしているのが判る。
さっきまでの気持ちとはうらはらに、衣装までがかっこ良く思えていた。
「ごめんごめん」
そう言いながら兄貴が転がるように入って来た。
見ると、兄貴の息は上がっていた。
ハァハァと肩で息をする兄貴の傍らで、アイツは優しそうな眼差しを私に向けてくれていた。
やっと平常心に戻った兄貴は、監督の元へ歩み寄って行った。
「貴様、俺の妹に何てことしやがる!!」
でも兄貴は、まだ興奮していた。
「監督が悪い!!」
誰かが叫んでいた。
「何故一緒に彼処に行かなかったの? 何故カメラマンを変えたの? 彼なら……、私と彼女の区別がついたはずよ」
その声は、怒りを通り越して呆れているように聞こえた。
(誰?)
涙で霞んだ目で良く見ると、兄貴の隣には私とそっくりな服装をした女性がいた。
私達が待ち合わせていた新宿東口駅前。
其処で監督達も待ち合わしていた。
それが騒動の発端だった。
兄貴はその手前で同郷の友人に話し掛けられた。
だから私が連れ去られて行くところを目撃したのだった。
友人は近くに止めてあったバイクで追跡。
兄貴は置いてきぼりの女優と撮影現場を目指したと言う訳だった。
「良かったみさとちゃんが無事で」
アイツは私の名前を呼んでいる。
でも私は興奮していて気付かなかった。
「本当に馬鹿だな俺は」
アイツはそう言いながら今度は自分の服の汚れを払っていた。