無垢・Age17
「目の前でみさとちゃんが連れ去られて行くのを見ていながら気付かなかったんだ」
アイツは新宿駅前をバイクで走行中、兄貴を見つけ思わず声を掛けたらしい。
そのせいで私が連れ去られと思っていたのだ。
まぁそれで大半は当たってはいるけどね。
女優さんは、田舎から出て来てキョロキョロしている役作りをするはずだったららしい。
だから敢えて質素な服装だったのだ。
私の思いは複雑だった。
(つまり私が田舎者丸出しだったから間違われたのだろうか?)
改めて女優さんを見てみて納得した。
それは本当に、誰が見ても……
私の田舎にいても違和感がない格好だったのだ。
それでも……
これでも、精一杯お洒落したつもりでいたのに。
でも同じ東口には違いないが、ライオンの前だったようだ。
そう言えば、イベント広場の脇にあったのを思い出していた。
「えーっ!? もしかしたらAV女優の橘遥さん? 俺アンタの大ファンです」
兄貴が突拍子のない声を上げていた。
「さっきから、何処かで会ったか考えていたんだ。雰囲気全然違うから解んなかった。この人に間違えられるなんてお前光栄だぞ」
兄貴はそう言いながら私に目配せをした。
(ん。 母には言うなってことかいな? 当たり前だ。誰がこんな話しするか)
「この子は今日始めて東京に来たんだよ。そんな子を拉致してレイプしようなんて……、俺は絶対に許さない。これから警察を呼ぶから此処から逃げないように」
でもアイツはそう言いながら携帯電話を出した。
「あっ、それだけは。ホラ監督も謝って」
橘遥さんはそう言うと、監督の頭を下げさせた。
「貴女が、其処まですることはない」
兄貴はそう言いながら私に又目配せをした。
(ん。母には言うなって念押しか? 当たり前だ。誰がこんな話しするか。だって怖くて、話したら……)
そうだよ。そんなこと言ったらもう東京には出してもらえなくなる。
今日此処へ来た本当の訳は、就職先探しだったんだから。
でも、そんなことより今の現状。
本当はまだ泣きじゃくっていたい心境だった。
(本当に、本当に怖かったんだから!!)
そんな思いをぶつけようと、私は又監督達を睨んでいた。
「トリックオアトリートか?」
アイツがこそっと言った。
アイツは新宿駅前をバイクで走行中、兄貴を見つけ思わず声を掛けたらしい。
そのせいで私が連れ去られと思っていたのだ。
まぁそれで大半は当たってはいるけどね。
女優さんは、田舎から出て来てキョロキョロしている役作りをするはずだったららしい。
だから敢えて質素な服装だったのだ。
私の思いは複雑だった。
(つまり私が田舎者丸出しだったから間違われたのだろうか?)
改めて女優さんを見てみて納得した。
それは本当に、誰が見ても……
私の田舎にいても違和感がない格好だったのだ。
それでも……
これでも、精一杯お洒落したつもりでいたのに。
でも同じ東口には違いないが、ライオンの前だったようだ。
そう言えば、イベント広場の脇にあったのを思い出していた。
「えーっ!? もしかしたらAV女優の橘遥さん? 俺アンタの大ファンです」
兄貴が突拍子のない声を上げていた。
「さっきから、何処かで会ったか考えていたんだ。雰囲気全然違うから解んなかった。この人に間違えられるなんてお前光栄だぞ」
兄貴はそう言いながら私に目配せをした。
(ん。 母には言うなってことかいな? 当たり前だ。誰がこんな話しするか)
「この子は今日始めて東京に来たんだよ。そんな子を拉致してレイプしようなんて……、俺は絶対に許さない。これから警察を呼ぶから此処から逃げないように」
でもアイツはそう言いながら携帯電話を出した。
「あっ、それだけは。ホラ監督も謝って」
橘遥さんはそう言うと、監督の頭を下げさせた。
「貴女が、其処まですることはない」
兄貴はそう言いながら私に又目配せをした。
(ん。母には言うなって念押しか? 当たり前だ。誰がこんな話しするか。だって怖くて、話したら……)
そうだよ。そんなこと言ったらもう東京には出してもらえなくなる。
今日此処へ来た本当の訳は、就職先探しだったんだから。
でも、そんなことより今の現状。
本当はまだ泣きじゃくっていたい心境だった。
(本当に、本当に怖かったんだから!!)
そんな思いをぶつけようと、私は又監督達を睨んでいた。
「トリックオアトリートか?」
アイツがこそっと言った。