坂口美里とガルダスト

「素敵な夢ね。美里なら、きっと達成できると思うわ。」


 笑顔で、そんな励ましの言葉をカオリ。


 でも、私はそんな言葉を望んでいるわけでも、そんな言葉をかけてほしいわけじゃない。


「違うんだよ。カオリ・・・。私が作ろうとしているガルダストは、やっぱりカオリたちの鉄人機と一緒で、もしガルダストを作ったら、もしかして、もしかして・・・・。」


「アルタスみたいに、犯罪に利用されるのが心配?」


 カオリの言葉。


 まさに、その通りだったから、顔を縦にふりながら。


「うん。」


 と、小さく返事を返した。


「・・・・・・なるほどね。」


 カオリは小さく返事を返す。


 そして、何かを小さく口の中で繰り返すと・・・・。


「ねぇ、美里・・・。美里のお兄様は、それについて何も語ったことはないの?」


 なぜ、ここで兄貴の名前を出すのだ?


 私は、美里が何を言いたいのか、さっぱり分からない。


「え?なんで?」


「美里が言ったんでしょ?お兄様は時々『難しいことを、私に向かって話す』って。・・・美里のお兄様は、将来のこと、未来のことについて、あなたに何も助言はしていないの?」


 ・・・・・?


 相変わらず質問の意味は分からなかったが、それでも、兄貴は過去に一度だけ『未来』のことについて語ったことがある。


 カオリの言葉をきっかけに、私の脳の中で、その言葉がプレイバックされた。

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