坂口美里とガルダスト
「だから、私は思うのだけど、きっと美里がやらなくても、鉄人機・・・もしくは、それ以上に兵器に化けてしまう遊具は、いつか作られるでしょうね。そのとき、作った人間が、美里じゃなくて、アルタスのような人間だったら、どうなるかしら?」
・・・・確かに、それはとても、考えたくない悪夢だ。
「何が言いたいの?カオリ。」
思わず、言葉に詰まる。
「少なくとも、美里はそんな馬鹿なコトをすることではないって、私は知っているわ。だったら・・・だからこそ、あなたには鉄人機・・・ごめんなさい。ガルダストを作って、より多くの人に幸せを与えて欲しいと思うの。」
「へ?」
思わず、カオリの言葉に、変な声が漏れる。
「美里、あなたの夢はとても素敵よ。私が聞いても魅力的に見えるぐらい・・・。もし、私の世界にある鉄人機も、あなたのような人に作られた物だったら、もっともっと、幸せな使い道があったと思う。」
「カオリ・・・。」
「だから、夢をあきらめないで・・・。美里なら、鉄人機を作ることも、そしてそれを、幸せに向けて使うことも出来ると思うわ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
言葉がなかった。
だけど、その言葉は、私の心の奥の奥に、とてもよく響いた。
『やらないうちから、どうして怖がる?知らないからこそ、面白いんだろう?』
天和タケル。
ガルダストのパイロットがよくテレビの中で口にしていたセリフである。
さすが私の初恋の人、言うことが人とは違う。
そして、その言葉をカオリの口から再び、聞けるなんて・・・。