坂口美里とガルダスト

「それもそうね・・・何せ、美里のお兄様ですものね。」


 含みのある言い方。


「どういう意味だよ?それ。」


「さぁ?」


 そんな会話を続けながら、私の買い物作戦は続いた。


 数えていないから良く分からないが、私たちはだいたい20往復はしただろうか。


 資金もすっかり底をつき、これ以上ビールを買いきれないところまできた・・・という時にはすっかり夜も更けていて、私達の足も今までにないぐらい腫れあがっていた。


「あ・・・足が痛い。」


 思わず、そんな声が漏れる。


「わ、私もよ・・・こんなに歩いたのは生まれて初めてだわ。」


 私は、そんなことはないのだが、それでも確かにこんなにも足を動かしたのは久しぶりだ。


「でも、まだ終わりじゃないんだよね・・・。」


「ええ。」


 そう考えると、気分が滅入るが、これはあくまで作戦の第一段階。


 先はまだまだ長い。


 所狭しと、部屋中に詰まれた缶ビール。


 全部をあわせれば、5000リットルはあるだろう。


 ガルダスト10機ぐらいは動かせそうだ。


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