坂口美里とガルダスト

「ちょ・・・ちょっと爺や。」


 声を出したのは、カオリの方だった。


「お嬢様もお嬢様です。アルタス様のそんな根も葉もない噂を信じて・・・。こんなに大量のガトトリノを手に入れるだけの財産・・・どこから出したのです?」


 厳しい視線をカオリに向ける爺や。


「そ・・・それは・・・。」


 それに対して、カオリも視線をずらすしか出来ない。


 確かに、カオリは人からもらった指輪を売ったのだ。


 仕方がなかったとはいえ、それが、十分に責められる行為であることには変わりない・・・。


「このガトトリノは、責任を持って私たちが処分されていただきます。私たちには必要のないものですからね・・・。」


「なんで!?」


 私は思わず声を張り上げた。


 それでは、いったい何のために、こんな苦労を重ねてきたのか・・・。


「当たり前です。こんなに大量のガトトリノを、持っていることがバレたら、それこそアマネ財閥が、危険にさらされます。あなたたちは、大人の事情と言うものを良く分かっていらっしゃらない。下らない噂に振り回されて・・・。あなた達がとった行動は、私たちが何代も重ねて大きくしていったアマネ財閥をつぶしかねない行為なんですぞ!」


 怒鳴る爺や。


 その顔はものすごく怖い。


 そ・・・・そんな・・・・・。


 私は、思わず、脱力して足元から地面に両膝をつける。


 足が腫れて、とても痛い・・・。


 しばらくは、動けないだろう・・・。


 後ろで、アルマーニスーツの人たちが、せっせと私たちが、買ってきたビールを運んでいるのが見える。


 後で、誰にもばれない方法で、捨てられるに違いない。


 くそっ~。何とかならないものだろうか・・・?


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