坂口美里とガルダスト

「な?」


「冒険をさせてもらえず、ただ知識だけを植えつけられた人間がどのようになるのかを、私は良く知っています。怪我をせずに、怪我人の痛みを知ることは出来ません。それを知っていたらこそ、お父様は私を第12階級の家にホームステイをさせたのではなくて?」


「な・・・睦月さま。おやめください。あなたの役割はもう終わったのですよ。」


 爺やが兄貴に押されている。


 やっぱり、同じ顔で迫られたら、使える身としては、分かっていてもたじろぐものなのだろう。^


 っていうか、兄貴、どうしてホームステイのコトを知っているんだ?


「そうですか・・・なら・・・。」


 兄貴は、そう言い放つと、マイクを取り外す。


「ここから先は、坂口睦月として言わせていただきます。」


 あ、兄貴の声だ。


「・・・俺は、当然あなたたちから見れば全然子どもです。だから、俺たちの考え方、行動それら全てが『戯言』だと言って処理してしまうことが可能でしょう。」


「わ・・・私は決してそんな、つもりは・・・。」


「ないなら、余計に聞いてください!確かに、アナタはそれなりにお年も召している。経験も、知識も私たちより十分豊富だし、理解していることも多いでしょう。でも、俺たちは、そのあなた達が理解していることや知識を、これから学んでいかねばならないのです。」


 兄貴・・・カッコいいけど、何言っているのか分からないよ。


 っていうか、お前、本当に頭良かったんだな。


 これからは、バカ兄貴って呼ぶのは、少し控えようかな・・・。


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