坂口美里とガルダスト

「ところで、カオリさんって、前々から思っていたんだけど、恋人とかいるの?」


 突然すぎる兄貴の質問。


「は?」


 そりゃ、カオリがそんな声を上げるのも、無理はない。


 しかし、この何気ない質問は、実は奥が深い。


 なぜなら、兄貴は前々から、カオリに恋人がいないかどうか気にしていたのだ。


 別に、異性として意識があるというわけではない。


 あえて言うなら、同じ顔で、酷い不細工と付き合ってもらっていては、困るのだ。


 確かに、自分と同じ顔が、男と付き合っているというだけでも気持ち悪いのに、さらにその相手が不細工となれば、心情的にやってられないよな・・・。


 私としては、そっちの方が面白くていいけど・・・。


「あ、別に答えたくなければいいんだけど・・・。」


「え?な・・・恋人なんていませんよ?ど、どうしてですか?」


 しかし、カオリからの反応は、予想と反して、少し焦ったものだった。


 ・・・・・・?


 たいした話題ではないぞ。


 どうして、こんなに動揺する?


 ・・・もしかして、惚れたのか?


 好きなのか?


 相手は、同じ顔をしている男だぞ!カオリ!!!


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