坂口美里とガルダスト
「なるほど・・・5機か。確かにリアルな数字だな。」
爺やに先導されるように、お屋敷に向かって歩いている最中、不意に兄貴が口を開いた。
「え?どうして?どうせ盗むんなら、全部盗まれた方がいいんじゃないの?」
もちろん、自作自演の強盗劇。
そんなことをするぐらい、造作もないような気がするのだが・・・。
「それでは、アルタス家のセキュリティ不備・・・しいては、責任問題になりかねないわ。」
カオリの言葉。
「あくまで必死の抵抗を試みたが、どうしても不意をつかれて、5機盗まれてしまった・・・。そんなシナリオが必要なんだよ・・・。それにアルタスさんの狙いは、治安を悪化させることではない。あくまで、鉄人機が軍用としても、警備用としても役立つコトを証明するためだ。だったら、たった5機でも暴れまわってくれれば、その役割は十分なんだよ。」
こっちは、兄貴の言葉。
まったく、二人とも、私を年下だと思って、馬鹿にして・・・。
それぐらい、私だって分かっていましたよ~。
「でも・・・その役割で言うなら、十分ね。」
「まぁ、俺から言わせれば、どうして今まであんな巨人を兵器に使わなかったのかという発想の方が不思議だな?」
「需要がなければ、供給はないわ。鉄人機は高すぎるもの・・・。」
「なるほど・・・。」
まったく、二人して大人の会話しやがって・・・。
私より、2,3個年上なだけじゃないか~!
「あまりすねるなよ、美里。お前も大きくなれば分かる。」
心を見透かしたような兄貴の言葉。
「うるさい!!」
悔しいから、思いっきり蹴りを食らわそうかと思ったが、今はそれどころじゃないから、とりあえず我慢した。
後で、絶対どつきまわしたる!!