坂口美里とガルダスト

「さて、後はことが起きる前に、アルタスの鉄人機を捉えれば・・・。」


 私がそこまで口にして。


「それは、できませんね。」


 爺やの言葉がかぶさった。


「え?」


 思わず、その声に私の口から変な言葉が漏れる。


「何のために、私たちはアルタスさまが事件を起こすのを待ったと思いですか?」


 え、え?


 何が起こっているのかわからない顔をしていると、やれやれと言う顔をしていた兄貴が口を挟んだ。


「つまり、ここまでの出来事でも偽装犯罪と言うことで、罪に問うことは出来るけど、それでは全然軽いし、保釈金次第でどうとでもなるということ・・・。」


「やらせるなら徹底的にやってから捕まえた方が良いってこと?」


「そうは言ってないけどな・・・せめて、殺人未遂か器物破損ぐらいはやってもらってから捕まえた方がいいことは間違いない。そうすれば、金の力で罪に問われることはなくても、地位だけはどん底に落ちるだろうからな・・・。」


 そんな・・・。でも、それじゃあ、万が一、アルタスが暴れる街の地域の人たちはどうなるというんだ?


「カオリもそう思うの?」


 唯一、私に賛同してくれそうなカオリに顔を向けると・・・。


「大丈夫よ、美里。彼らには常に尾行がついているわ。連絡が来れば、すぐに私達のガルダスト・・・だっけ?・・・が、赴くことになっているの。」


 それでも、もし、暴れ出した一機が、ここからすごく離れた場所にいたらどうなる?


 きっと、間に合うことはないだろう・・・。


 きっと、被害も大きく出るだろう・・・。


 そうなったら、それは殺人未遂ではなく・・・・・・。


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