坂口美里とガルダスト
「カオリ!!アナタのガルダストの鍵を貸して!!」
「え?」
カオリの驚いた声。
「美里!!」
兄貴の怒鳴り声。
「そりゃ、確かにアルタスさんの野望を防げれば、それで万々歳かもしれないけど、それで人が死んだら?大切なものが壊されたら?片腕だけがなくなって、それ以後の生活を余儀なくされた人が出てきたら?それでも、あなたたちはアルタスさんの野望が防げてよかったね・・・って言えるの?私は出来ないよ!!」
「だから、そうならないように・・・」
兄貴がそこまで声を出して
「努力しているように見えないから怒鳴っているんだよ!!」
かぶさるように、声を張り上げた。
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三人が一気に沈黙する。
早くしないと、破壊活動が始まる。
そしたら、本当に人が死ぬかもしれないんだ・・・。
そしたら、間に合いませんでした・・・なんて、言葉で片付けられるものか。
「・・・分かったわ、それじゃあ、私が行くわ。」
沈黙の均衡を最初に破ったのはカオリだった。