坂口美里とガルダスト

「カオリ!!アナタのガルダストの鍵を貸して!!」


「え?」


 カオリの驚いた声。


「美里!!」


 兄貴の怒鳴り声。


「そりゃ、確かにアルタスさんの野望を防げれば、それで万々歳かもしれないけど、それで人が死んだら?大切なものが壊されたら?片腕だけがなくなって、それ以後の生活を余儀なくされた人が出てきたら?それでも、あなたたちはアルタスさんの野望が防げてよかったね・・・って言えるの?私は出来ないよ!!」


「だから、そうならないように・・・」


 兄貴がそこまで声を出して


「努力しているように見えないから怒鳴っているんだよ!!」


 かぶさるように、声を張り上げた。


「・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 三人が一気に沈黙する。


 早くしないと、破壊活動が始まる。


 そしたら、本当に人が死ぬかもしれないんだ・・・。


 そしたら、間に合いませんでした・・・なんて、言葉で片付けられるものか。


「・・・分かったわ、それじゃあ、私が行くわ。」


 沈黙の均衡を最初に破ったのはカオリだった。


< 127 / 152 >

この作品をシェア

pagetop