坂口美里とガルダスト
終章
それから、しばらくの日々がたった。
アルタスは私達の活躍もあってか、送検され、その地位はどん底に落ちていった。
今は、裁判中なのだが、被害総額は、それほどでもなく、結局死人も出なかったから、あまり重い刑に処せられることはないと思う。
この間まではマスコミが騒いだり、カオリも裁判に出頭したりと、色々大変だったが、最近では、穏やかな日々が続いている。
しかし、決して、そんなに良い事だけが続いたわけではない。
この事件を皮切りに、アルタス財閥が株式店頭に並ぶ・・・事実上、会社を売却という形になった。
役員たちは総じて、首を切られ(中には捕まった人もいるらしい)会社自体も大きく縮小されることになった。
ざま~見ろ。なんて、口が裂けても思えなかった。
これによって、多くの人が収入源を失い、路頭に迷うことになるのだ・・・。
死人が出ないから、被害総額が少なかったから・・・だから、良かったね。なんて、誰も言ってくれなかったし、私自身もその話を聞いてから、そうは思わなくなった。
兄貴もカオリも、この結末には気がついていたらしい。
そうなるコトを承知で、それでもここが地獄になるのだけは避けたいから、という理由で、計画に参加したらしい。
なんで、誰も教えてくれなかったんだよ・・・とは、口が裂けてもいえない。
そこに気付けなかった私が愚かなんだ。
そこまで考えられなかった私がバカだったんだ・・・。