坂口美里とガルダスト

「うわっ・・・これが200円でいいの?」


 8月上旬の、暑い日だった。


 夏休みに入った私は、カオリを連れて、フリマに来ていた。


 もちろん、いつものように、完璧に近い男装を施している。


 カオリとしては、兄貴も一緒に来て欲しかったらしいのだが、それは全身全霊で否定した。


 さすがに、それはデンジャラスすぎる・・・。


 あ、今となっては完全な余談になってしまうが、あの時、兄貴がどうして、カオリのホームステイのコトを知っていたかというと、カオリの部屋に家族でも恋人でもない、違和感のある写真が飾られていたところから、爺やに尋ねたらそのような答えが返ってきたとの事だった。


 ちなみに、兄貴は少し向こうの世界の歴史が勉強したいとの事で、今日は女装して向こうの世界の図書館を巡っている。


 今頃、ナンパとかされていて、それを見た爺やが焦っているんだろうな・・・。


 そういや兄貴は、この前行ったとき、ガルダストの操縦を覚えていやがった。


 ズルすぎる。


 私にも教えて欲しいといったが、お前には早すぎると、兄貴、カオリ、爺やにまで言われてしまった。


 そのときほど、私は自分の年齢を呪ったことはない。


 くそ~!!


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