坂口美里とガルダスト

「こんにちは、松本おじさん。」


 そんなこと考えながら、私はいつものように、松本おじさんの店に向かう。


 相変わらず、ガラクタばかりが並ぶ店。


 1つも売れている様子はない・・・。


「お、こんにちは、美里ちゃんに・・・、睦月君か?珍しいな?」


 そういえば、おじさんは兄貴と2年近くあってないんだっけ。


「あ、いや・・・おじさん。彼女は兄貴じゃないの。なんていうか、ほら・・・ソックリさん?」


 本当は、1から丁寧に説明したかったのだが、たぶん信じてくれないだろうから、そんな言葉でまとめた。


「え?ウソだろう?」


「ウソじゃありませんよ。」


 カオリが笑顔で話しかける。


 彼女の声は、紛れもない女のものだから、これで分かるだろう。


「あ、本当だ。しかも、女性?」


 まぁ・・・これについては、兄貴が知っている人ならば、驚くことだろうな・・・。


「うん。まあね・・・。」


 それについて、私は曖昧な返事を返すしか出来ない。


 何せ、いまだに私だって、笑いそうになるし・・・。


「へぇ~」


 おじさんはカオリをジロジロ眺めながら、感心した声を上げる。


 興味本位からの行動なのだろうが、見られているカオリからしてみれば、居心地の悪い行為だろう。


 顔、しかめているし・・・。


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