坂口美里とガルダスト

「まぁ、世の中には似ている人間が3人はいるって、話だからな。ウンウン。」


 おじさんは、一人、自己完結をすると、勝手に話を進める。


「あ、そういえば、美里ちゃん聞いたよ。最近、先生相手に啖呵切ったんだって?」


 カオリの顔をある程度、眺めてから、もう一度視線を私に戻して口を開く松本おじさん。


 突然の話題変更に、私は一瞬混乱する。


「え、どうして、それを?」


「隆君に聞いた。」


 なるほど・・・。


 あのヤロウ、後で絞め殺す


「だって、先生が、あまりにも、私の進路に口出しするんだもん・・・。」


「進路?」


「そう。私、腹工に行くって、決めたんだ。」


「え?」


 松本おじさんは声だけではなく、表情でも、驚愕を表現する。


 しかし、私の独白(というより、愚痴)は止まらない。


「なのに、先生は『お前なら、もっといい高校行ける』って・・・。別に、いい高校に行くことが、私の目標じゃないって言うのにさ・・・。」


 口にしながら、あの日の進路相談の出来事が頭をよぎり、腹が立ってくる。


 あのババア。自分の意見ばっかり人に押し付けやがって・・・。


 そんなにも、生徒を思いのままに動かしたいか?


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