坂口美里とガルダスト
いっしょう
進路志望。
中学三年になると、一月に一度はそんな内容が書かれたプリントが渡されて、私たちの貴重な青春の時間を削られる。
正直、どんな高校だろうが私にとっては、あまり興味がない。
「あ~あ、ガルダストが作れる学校なんてあればいいのに~。」
ピンクが基調とされた部屋の中で、勉強机に腰掛けながら、私は飾り気のない真っ白な天井を見上げ、声を上げた。
何もない、円形の蛍光灯だけが部屋を照らす木製の天井。
当然、そんな場所を眺めたところで、答えなんて書いているはずもない。
私の名前は、坂口美里。
少し童顔で、いまだに時々小学生にも間違われたりするが、これでも立派な15歳。
学内では、常にトップクラスの成績を取り続ける、坂口中学の自称アイドル。
そんな私が、常々口にしている起動剣士ガルダストとは、今から5年前。テレビ朝日で大絶賛の元で終わりを告げた超巨大スケールで宇宙戦争を繰り広げた全長15メートルにも上る超巨大ロボットである。
私の将来の夢はガルダストを作り、それを自ら操縦すること。
きっと、今の技術を結集すれば、アレぐらいのロボットは作れるはずなんだ。
「はぁ~。」
そこまで考えて、大きくため息が漏れる。
私だって馬鹿じゃない。もう15歳にもなれば現実と妄想の区別ぐらい、嫌というぐらいついている。
ガルダストなんて、アニメの中の産物。現実に作れるはずがない。
「やっぱり、ロボコンとかで作るにしても、ガルダストには、程遠いよなぁ~。」
全国高校ロボットコンテストが、私の理想の中では一番近いものではあるのだが、やっぱり何か違う。