坂口美里とガルダスト
「へぇ~。まるで、昔のガルタニア国みたいね?」
「ガルタニア国?」
聞きなれない単語再びだ。
こちらの世界での国なのだろうが、どこに位置するのか皆目検討がつかない。
「そう、昔、ガルタニア国では絶対民主主義を訴え、国の代表から、政治のやり方まで、全て選挙と民主主義を遂行していたんだけど、100年としないうちに、政治腐敗が国中に蔓延して、あっという間に、その国は滅んでしまったの。」
「そ・・・そうなんですか?・・・それは、また滑稽な話ですね?」
笑えねぇ~・・・。
これっぽちも、笑えねぇ~・・・。
「ところで、美里。さっきから喋り方が硬いわよ。アナタには階級なんて関係ないんだから、もっと砕けた喋り方でもいいのよ。」
呆れ声で言うカオリ。
そう簡単に言ってくれるが、こんなゴージャス感漂う家の中に住んでいて、しかも、あのアルマーニ軍団をあごで使えるお嬢様に溜め口なんて簡単につかえるはずもない。
「いや・・・それは、またおいおい・・・。」
そんな言葉でごまかしといた。
「そう?」
カオリが顔をいぶかしめた瞬間。アルマーニの一人が、高級そうなビンを持って、私たちのテーブルにやってくる。
「食前酒でございます。」
食前酒!?
私、まだ15歳なんですけど!!
「美里、アナタお酒は?」
「飲めません!」
思わず、声を張り上げてしまう。
私は小学校時代に、兄貴に騙されて飲んだビールぐらいしか、お酒を味わったことはない。
アレは、死ぬほど不味かった・・・。
どうして、お父さんたちは、あんなものをうまいとか言いながら飲めるのか・・・いまだに謎だ。