坂口美里とガルダスト
「だ、そうよ・・・。私もお酒を飲みたい気分じゃないわ。下げてちょうだい。」


「かしこまりました。」


 やっぱり、深々と一礼をすると、お酒を持ったまま踵を返すアルマーニ。


 カオリさま・・・私は、やっぱり、しばらくアナタにタメ口で話すことなんて、できそうもないよ・・・。


「そういえば、年齢を聞いていなかったわね。美里っていったい、いくつなの?」


 アルマーニを見送りながら、カオリがふと口を開く。


「15歳ですよ。お酒なんて、全然、飲めるはずないじゃないですか?」


「15歳?」


 今度は、カオリが声を張り上げる。


「ど、どうしたの・・・ですか?」


「いや、もう少し若く見えたから・・・ごめんなさいね。」


 悪かったですね・・・どうせ、私は童顔ですよ・・・。


「イエイエ、そういうカオリさんこそ、いくつなんですか?」


「私?私の年齢は18よ。」


 やっぱり・・・・。


 兄貴の年齢が17歳。


 心のどこかで、同じような年齢だと思っていたから、さしたる驚きはない。


「まだ、お酒なんて飲めない年齢じゃないですか?」


「え?・・・美里たちの世界には、お酒を飲むのに、年齢制限なんてかかっているの?」


「はい。」


 つまり、その言い草だと、この世界では、お酒に年齢制限はないということ。


 それぐらいのカルチャーショック、ガルダストをはじめとして、今まで感じたことに比べたら、たいしたことではない。


「不思議な世界よねぇ~。まぁ、面白くていいけど・・・。」


 そこまでカオリが口にしたところで。

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