坂口美里とガルダスト
「気にすることないわ。あなた、最初に会ったときもそうだけど、本当に、正直者よね?見ていて飽きないわ。」
「あ、よく言われます。」
それが、ほめ言葉なのか、イヤミなのかは別としてだが・・・。
「うらやましいわ。ただ、上流階級では通じないわね。」
「すいません・・・。」
「あやまることじゃないわ。とてもいいことよ。それは・・・。私には到底できないことだわ。」
その瞬間、カオリの顔に少し陰りが見えたのが分かった。
追求を拒む顔だったので、私は、その瞬間、何もいえなくなってしまう。
「それより、さっきのハゲ豚・・・じゃなかった、アルタスさまって、どんな人なんですか?」
とりあえず話をそらすために、先ほどのコトを話題にしてみる。
「ハゲ豚・・・いい表現だわ。あの人はね、さっき、私が乗っていた鉄人機の生産を一手に担っていた、アルタス財閥の会長様よ。」
「アレが・・・。」
イメージが崩れ去るのもいいところだ。
あんなハゲ親父が、私の夢であるガルダストを作っていたなんて・・・。
「美里、さっき私に聞いたわよね?鉄人機で、戦争はしないのか?凶悪犯罪は起こらないのか?・・・って。」
「え、うん・・・。」
突然、ずれた話になって、私は一瞬戸惑った声を出す。
そういえば、まだガルダストが、セレブの遊具だと知る前に、そんなコトを口走った記憶がある。
でも、それがいったい何の関係があるのだろうか?