坂口美里とガルダスト
「確かに、今はそんなことはないわ。鉄人機を持っているのは、貴族階級だけだし、彼らは精神的におかしくならない限り、犯罪なんて起こさない人たちばかりだもの。」
確かに、そのとおりだ。
自分たちの世界にも、セレブの中には拳銃とか猟銃とか持っている人間は多数いるけど、彼らがそれを使って銀行強盗をするなんて、考えにくい。
「でもね・・・それが崩れさったら、どうなると思う?例えば、それこそスラムに住んでいるような第15階級の人たちが、鉄人機の操縦の仕方を覚えて、それを自在に操れるようになったとしたら?」
カオリの言葉に私は想像力を働かせてみた。
もちろん、スラムの住人が全て悪いとはいえない。
だが、その半数は、薬をやっていたり、金のためなら、何でもしでかすような、恐ろしい人間たちだ。
私は、自分の脳みそでできる限りの想像力を働かせ見た。
・・・・どんなに頑張っても、いい光景は浮かばなかった。
「・・・・・・・・・・・怖いね。」
正直な感想。
「さっきのアルタスはね・・・それをやろうとしているの。」
「えぇ!!」
思わず、声が張りあがった。
「声が大きいわ。」
「あ、ごめんなさい。・・・でも、どうして?」
「正確な理由は分からないわ。でもね、元々アルタスは軍事産業によって、今の地位を手に入れた人間なの。トコロが、今は平和な世界が続いて、軍事予算は縮小の一途を辿っているわ。当然、アルタス家の家庭内事情も、あまり良くはないでしょうね・・・。」
そこまで聞けば、ある程度は予想が付く。