坂口美里とガルダスト
「もちろん、極秘事項だけだけどね。」
フフフと笑うカオリだけど、私にとって見たら、ちっとも笑えるような内容ではなった。
「だったら、すぐにでも止めないと!!でなければ、警察に突き出すとか・・・」
「どうやって?」
その言葉を口にした瞬間。カオリの顔が酷くゆがんだのが見て取れた。
「・・・・・・どうやってって・・・。」
私が、言葉に詰まっていると。
「証拠なんて、どこにもないわ。産業スパイがバレたら、それこそ罰せられるのは私たちの方よ。」
確かにそうだ。
スパイは当然違法であり、それがバレたら、責められるのはあのハゲ豚ではなく、むしろカオリたちの方だ。
「ガルダストを使うって言うのは・・・?」
「無理よ。さっき言ったでしょ?動かせる機体がもうあまりないの。エネルギーの問題ね。」
「エネルギー?」
その単語に私の頭に少しだけ引っかかるものがあった。
もしかしたら、もしかするかもしれない。
「そう。エネルギー。・・・鉄人機を動かすにはガトトリノっていう、特殊なエネルギーが必要なの。当然、その販売元もアルタス財閥管轄だわ。販売されていた当初は、ガトトリノも大幅に、格安で私たちに分けていたんだけどね・・・3年前、つまりは、先ほど私が話した計画が立案されるや否や、途端にエネルギーの販売をストップさせたの。・・・まぁ、無理もないわよね。他の鉄人機が動いたら、アルタスの計画、丸つぶれですもの・・・。」
カオリの顔は、本当に苦々しそうだった。
よほど、悔しいのだろう。
アルタスの思い通りにしかならない、現状が・・・。