坂口美里とガルダスト
よんしょう
次の日。
私の動きは早かった。
案外異世界に飛ぶと、しばらくは帰れないというのが通説だが、全然そんなことはなく、蛍光灯に行くときとまったく同じ手順を繰り返したら、あっさり元の世界に帰ることができた。
当然、夜遅くまで部屋に閉じこもる形になったので、お父さんやお母さん、終いには兄貴にまで、色々言われたが、勉強に集中していたということで逃げた。
受験生は、便利な言い訳を持っているものだ。
そして、学校の帰り道、友達からの誘いを全て断って、私は酒屋でビールを買う。
当然、麦100%天然水使用のお高いヤツだ。
少なくとも、10リットルは欲しい。
合計金額1万円?
やっぱり高いなぁ~チクショウ!
「別に、金払ってくれるなら文句は言わないし、すぐに運んでやれるけど・・・いったいこんなにたくさんのビールどうするんだ?」
こんなにたくさんのビール。当然、知り合いの家で買うしかない。
幸い、隆の家は酒屋だった。