坂口美里とガルダスト
その後、私は隆のお父さんの車で大量のビールと共に、家まで帰る。
「いやぁ~それにしても、親孝行だな、美里ちゃんは。家の隆なんて、母の日にプレゼントの1つもくれたことないよ。」
玄関の前で、隆のお父さんに言われる。
当然、今更ウソなんていえない。
「いや・・・でも、それは人それぞれで、隆のヤツもきっと気持ちの上ではお母さんに感謝していると思いますよ。」
苦し紛れに言ってみる。
ちなみにこの前、自分の母親を「くそばばぁ」と呼んでいたことは、伏せておこう。
「そうかい?そう言ってもらえるとうれしいよ。・・・さて、このビールどうする?やっぱり、お母さんに見つかるとマズイだろう?」
「え、ええ・・・、あ、大丈夫です。これぐらいの距離なら自分で運べますから・・・。」
「そうかい。やっぱり美里ちゃんは偉いなぁ~。これからも家の隆の面倒見てやってな。それじゃあ・・・。」
おじさんは、荷台からビールを下ろすと、手を振って去っていった。
相変わらず、パワフルな親父・・・。
「さて!」
私は、気合を込めて先ほど買い込んだビールを玄関先から自分の部屋に持ち込む。
・・・・重いなぁ~
結局、三回ぐらいに分けて、ビールを自分の部屋に運びこんで、準備完了。
一度、動きやすい私服に着替えてから、私は昨日と同じように蛍光灯を右手でさすりながら、呪文を唱える。