坂口美里とガルダスト

「お・・・重いぞ・・・。」


 思わず、声に出た。


 さすが、10リットル分のビールが詰め込んであるトートバックは伊達じゃない。


 これでは、カオリの家に着く前に、バテて死んでしまう。


 こんな場所で死んだら、当然身元不明の死体として処理されるんだろうな・・・。


 そういえば、警察の中でいつまでも身元不明となったままの死体は、もしかしたら、私のように異世界から飛ばされて、そのまま私たちの世界で死んでしまった人たちの死体なのかもしれない・・・。


 そんなバカなコトを考えながら、公園を抜けると、私の前に一台のベンツが止まっているのが見えた。


「お待ちしていました美里様。カオリお嬢様がお待ちです。」


 ベンツの扉の前に立っているのは、一人の白髪の老人。


 もちろん、アルマーニスーツ。


 じ・・・『爺や』だ。


 『爺や』に違いない。


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