坂口美里とガルダスト
「ところで、美里様。失礼かとは思いましたが、少し素性を調べさせていただきました。」
「へ?」
爺やの言葉に、視線を窓から正面に移す。
強張った表情をしている爺やが見えた。
怖い顔だ。
・・・・何を言われるんだろう?
「我々、アマネ一族の情報収集率は、おおやけに言うことこそできませんが、世界でもトップクラスの収集率を誇っていると自負しておりました。・・・・しかし、驚きました。美里様。アナタの素性は、我々のそのような情報収集能力をもってしても、一切不明。カオリ様が特権階級と申されておりましたが、まさかここまでとは・・・。」
そりゃ、当たり前だ。
いくら調べたところで、私のデータが、この世界にあるはずない。
「そ、そうでしょうね・・・。」
思わず、背中に冷や汗が流れる。
笑顔も引きつるのも、この場では仕方がないってモンだ・・・。
「正直なコトを申しますと、ここだけの話。お嬢様は上級階級の人間でありながら、お人が好すぎるところがあります。それゆえ、下級階級のような人間が、金銭目的で近づく可能性も危惧していたのですが・・・。」
「そ、そうでしょうね・・・。」
まったく同じ返事。
もはや笑うしかない。